フランス 喜劇映画(マックス・ランデー、アンドレ・デード)

 フランスでは、マックス・ランデーが引き続き活躍を見せていた。ランデーは人気を盾に、パテ社に年25万フランの3年契約を申し出て、パテ社は受け入れている。ランデーはスペインで闘牛士の格好をして子牛と闘い、喝采を浴びている。この模様はフィルムに収められた。

 また、フランスで人気を得た後、イタリアで映画製作を行っていたアンドレ・デードもイタリアから戻り、さまざまなキャラクターを演じた(代表作「胸甲騎兵ボワロー」「召使いボワロー」(1912))

 ゴーモン社でも、喜劇が製作された。1910年から「ベベ」シリーズに、ベベの弟役としてルネ・ポワヤンを出演させ、人気を得た。これに不満を持ったベベ役のクレマン少年の父親は、少年を降板させてパテへと移籍してしまった。ゴーモン社は、ルネ・ポワヤン主演の「プー・ド・ザン」シリーズを製作して成功を収めている。

 パテ社が喜劇製作のために設立したコミカ社でも、アルフレッド・マシャンが「フーイナールは組合活動家でない」(1912)といった無政府主義的・組合活動的精神を送り出している。

 ジャン・デュラン監督の「Onesime」シリーズでは、「ONESIME CLOCKMAKER」といった作品が作られている。



(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。