エジソン社の作品 1912年(1)

 この頃のエジソン社は1巻もののライト・コメディやシリアスなドラマなどを作っていた。その質は悪くなかったものの、時代は2巻もの以上の長編やスターの時代へと移っていった。エジソン社はそうした時代の流れに対応できなかった。

 エジソン社は作品よりも機械や技術に力を入れていた。家庭用の映写機や映像と音をシンクロさせる技術(以前に試みられていた)を売り出したが成功はしなかった。

「THIRTY DAYS AT HARD LABOR」

 1人の有閑階級の男性が愛する女性と結婚するために、1つの条件を出される。その条件とは、30日間にわたり重労働に耐えて、自分の手で収入を得ることだった。

 この作品は、それまでのエジソン社の作品と趣が異なる。ショットのサイズ、編集、クロース・アップの使用など、それまでの舞台を固定のカメラで撮影したような手法とは異なっているからだ。

 ショットのサイズについては、今までは頭の先からつま先まで、登場人物のすべてが映っているのが基本だった。それが、立っている人物を映すときでも、膝くらいから上を映すように変わっており、そのため登場人物が大きく見え、表情などもより細かに見ることができるようになった。

 編集も今までのようなワン・シーンをワン・ショットで撮影する方方とは異なり、1つのシーンの中でも角度を変えて撮影が行われている。まだまだぎこちないが。

 厳密な意味でのクロース・アップの使用は、主人公のタコの出来た両手の1回に限られている。しかし、最後に愛する女性と再会して手を握り合うと手に痛みが走るという展開の、ちょっとした伏線となっており、効果的な使われた方をされていると言えるだろう。

 ちなみに、原作はオー・ヘンリーで、かなり忠実な映画化だという。タイトルからはシリアスな物語が予想されるが、主人公の男性の陽気な性格と、最後に見つける仕事の内容によってコミカルな雰囲気の作品となっているのが特徴だ。

 Oscar C. Apfel監督作。



(DVD紹介)

Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]

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映画初期のエジソン社製作の映画を大量に見ることができる4枚組DVD−BOX。各作品についての解説(英語)もあり、かなり親切な作りになっている。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。