D・W・グリフィスの作品 1912年(9)

「THE PAINTED LADY(厚化粧したレディ)」

 D・W・グリフィス監督作品。バイオグラフ社製作。

 化粧の仕方も分からず、男性にももてず、そんな自分に劣等感を持っている1人の女性。そんな彼女に言い寄る男性が現れる。喜んで彼と付き合う女性だが、その男の目当ては女性の父親の財産だった。あるとき、父親の金を目当てに強盗に入ってきた男を女性は撃ち殺してしまう。気が狂った女性は、かつて男性と逢引した場所にいき、幻の男性と会話をかわすようになる。

 15分の枠の中で、1人の女性の抱える悩み、フラストレーション、希望と失望、悲しい結末といったドラマが凝縮されている。グリフィスの演出に取り立てて工夫が凝らされたところはないとはいえ、そのドラマの濃密さと主役を演じるブランチェ・スウィートがみせる悲しさや不安定さ、そして狂気を抑えた演技の良さもあって、見所のある作品となっている。

 この作品は、女性の性的なフラストレーションを描いた作品としても、当時としては貴重だ。直接的にセックスが描かれているわけではないが、映画から溢れ出ている。これもまた、ブランチェ・スウィートの演技によるところが大きい。



(DVD紹介)

Dw Griffith: Years of Discovery 1909-1913 [DVD] [Import]

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 バイオグラフ社所属時代のD・W・グリフィスの作品を集めた2枚組DVD。多くが1巻物(約15分)の作品が、全部で22本見ることができる。