イタリア 第二の「クォ・ヴァヂス」
イタリアでは1912年に製作され、世界的に大ヒットした「クォ・ヴァヂス」に続けと、大作映画が多く作られたが、「クォ・ヴァヂス」の成功には及ばなかった。
「ポンペイ最後の日」(1913)の再映画化は競作となった。アンブロージオ社は、1913年初めから超大作「ポンペイ最後の日」再映画化を極秘裏に準備していた。脚本アルリーゴ・フルスタ、監督マリオ・カゼリーニ、撮影ジョヴァンニ・ヴィトロッティというベスト・メンバーのベスト・メンバーで製作され、撮影前からシカゴのフォトドラマ社に売れていた。
一方で、トリノのグロリア社とパスクアーリ社も「ポンペイ最後の日」を企画していた。グロリア社はヴェローナの古代ローマ闘技場を借り、出演させる動物も買っていたが、製作を中止した。だが、パスクアーリは強行した。独占契約をしているミラノの興行者の命令で、アンブロージオ社より先に28日間で完成させ、最初にアメリカにプリントを送り、すでに行われていたアンブロージオ社の大宣伝を利用した。アンブロージオがパスクアーリを告訴したが、アンブロージオ側の敗訴に終わった。
アンブロージオ社では他に、イタリア国家統一運動を描いた「思ひ出のランプ」(1913)が、イタラ社では「クォ・ヴァヂス」のエンリコ・グォッツィーニが企画した「アントニイとクレオパトラ」(1913)が製作された。他の会社も、「ジャンヌ・ダーク」(1913)、初期キリスト教者を描いた「全勝」(1913)、イタリア国家統一運動を描いた「血染めの軍旗」(1913)、パテ社によって製作された「ネロとアグリッピナ」(1913)などが製作。
アンブロージオ社は、マントヴァ通りにヨーロッパで最も優れているといわれるスタジオを建設した。アンブロージオ社は、月12本のペースで映画を製作し、黄金時代を迎えることになる。
(映画本紹介)
無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)
- 作者: ジョルジュサドゥール,Georges Sadoul,丸尾定,小松弘,村山匡一郎
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1995/09/01
- メディア: 単行本
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映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。