連続映画「ポーリンの危難」

 アメリカで製作される連続映画は、新聞と結びついていた。前年新聞小説「キャスリンの冒険」(1913)の映画化で部数を伸ばした「シカゴ・トリビューン」紙に対抗して、ライバルのハースト系の新聞は「ルシル・ラブ」を1914年に連載開始し、ユニヴァーサルが映画化している。ハースト系の新聞は続いて「ポーリンの危難」を連載。パテ・エレクティック社によって映画化されている。

 「ポーリンの危難」(1914)は、パール・ホワイトが主演し、人気を得た。ホワイトは1909年にパワーズ社と契約し、1911年にパテ社が作った劇団に入った女優だった。ホワイト演じる億万長者の娘が謎の一味に追われて殺されかけるが、娘は危機から逃れる方法を見つけ出すという内容だった。

 「ポーリンの危難」に対抗し、「シカゴ・トリビューン」は「百万弗の秘密」(1914)を連載し、映画化される。23エピソードあり、成功を収めている。



(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。