キーストン時代のチャップリンの作品「成功争ひ（成功争い）」

　チャップリンのデビュー作として名高いこの作品はまた、チャップリンが浮浪者の格好をしていないことでも有名な作品だ。キーストン社に入社したばかりのチャップリンは、この作品ではシルクハットに片眼鏡、カイゼル髭にコートといういでたちで登場する。

　ストーリーは込み入っている。ある男を言いくるめて、その男が持っていた高い指輪を自分の持つ安物の指輪と交換することに成功したチャーリーは、高い指輪を恋人にプレゼント。するとそこに、先ほど言いくるめた男がやってきてドタバタとなる。と、途中までのストーリーを書いてみたものの、はっきり言って説明がないとわからない。私は、音楽だけのバージョンと、活弁つきのバージョンの２種類を見たが、音楽だけのバージョンではストーリーがよくわからなかった。

　この後、チャーリーは新聞記者募集の貼り紙を見て、自分を売り込みに行く。すると、そこには先ほどの男が記者として働いている。社長らしき人物はとにかく２人に特ダネを取って来ることを命じる。記者の男は、坂道を転げ落ちる自動車を目撃（転げ落ちる自動車の映像は迫力がある）。インタビューし、写真を撮った後、他の人たちと一緒に救助する。そこに現れたのがチャーリー。記者の記事と写真を盗んで、新聞社に駆け込む。記者は追いかけるが、すでに新聞は刷られて街に出回っている。収まらない記者は、チャーリーをひたすら追いかけ、２人のドタバタはいつまでも続く。

　後半のストーリーは、説明がなくてもある程度わかった。チャップリンのキャラクターも確立されておらず、ドタバタにもそれほどの工夫が凝らされているわけではないこの作品は、後半はストーリーで引っ張っていく。

　
（ＤＶＤ紹介）

CHARLES CHAPLIN COMEDY FILMS-SPECIAL BOX- [DVD]

チャップリン・ザ・ルーツ 傑作短編集・完全デジタルリマスター DVD-BOX