ドキュメンタリー「IN THE LAND OF THE HEAD HUNTERS」

 製作国アメリカ 別タイトル「IN THE LAND OF THE WAR CANOES」
 シアトル・フィルム製作 ワールド・フィルム配給 監督・脚本エドワード・S・カーティス

 著名な写真家だったエドワード・S・カーティスが、北アメリカ北西部沿岸に居住するネイティブ・アメリカンの民族であるクワキウトル族を撮影したドキュメンタリー映画。初めて「ドキュメンタリー」という用語が使われた作品と言われている。

 明らかに再現されている部分があるなど、現在の「ドキュメンタリー」というイメージとは異なるものの、1914年には明確な「ドキュメンタリー」の定義は存在しなかったことを忘れてはならない。映像に加えられている様々な作為は乗り越えて、多くの見どころのある作品である。

 巨大なトーテムポール、勝利の祝祭の場で踊られるダンスと参加者たちが着ている着ぐるみなど、クワキウトル族に特徴的なヴィジュアルが記録されている。特に、鳥をモチーフにした着ぐるみ(「セサミ・ストリート」に出てきてもおかしくない)は特徴的で、カーティスもそう感じたのか大勢で踊っているシーンとは別に、1体だけで踊るシーンを撮影している。

 映像的には表面をなぞったようなものが多いが、海を進むカヌーが岩礁に近づいていくと大勢のオットセイが逃げていく様子は、カヌーに乗せられたカメラが揺れる臨場感もあり、スペクタクルを感じさせる映像となっている。

 興味深い映像は多くあるものの、全体的な印象は地味だ。「極北の怪異」(1922)の知名度に劣るのは、この作品が興行的に成功しなかったからだろう。その理由は地味さにある。ドキュメンタリーとしての完成度といったことは置いといて、「極北の怪異」が面白い作品であることを見逃してはならない。

In the Land of War Canoes [DVD] [Import]

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