映画評「AMMUNITION SMUGGLING ON THE MEXICAN BORDER」

 製作国アメリカ バックホーン・フィルム・カンパニー製作 エルク・フォトプレイ・インク製作・配給
 製作・出演ユージーン・バック 製作セオドア・トマス 出演キャンデラレラ・オルテズ、トム・ガードナー

 テキサス州とメキシコの国境付近で起こった、メキシコ革命軍によるテキサス州保安官殺害、保安官たちによる革命軍の捕縛といった再現ドラマとして製作された作品。1913年に起こった実際の事件を元にすぐさま製作され、ラストには本物の逮捕された革命軍やテキサス州知事らが登場する。

 映画としての出来は良いとは言えない。実際の保安官らが出演していることもあり、演技というよりは行動を少し離れた位置から撮影したスタイルとなっている。クロース・アップも少なく、誰が誰かは字幕を頼るしかない。

 この作品は、「実際の出来事を正確に」映画化したと銘打っている。当時はまだ「ドキュメンタリー」という言葉もなかった時代で、フィクションとノンフィクションの境界線もあいまいだった。だからといって、この作品を見た人々がそのまま「正確」に再現されたものと受け取ったとは思えないが、当時の映画作りや興行がどういったものだったかの一端を見せてくれる点で、興味深い作品だ。