「オズ」シリーズ作「HIS MAJESTY THE SCARECROW OF OZ」

 オズ・フィルム・カンパニー製作。この会社は、「オズの魔法使」の原作者であるライマン・フランク・ボームがボスの会社である。

 「オズの魔法使」というと、ジュディ・ガーランド主演の1939年の作品が有名だ。ガーランドの「オズの魔法使」は、1900年に出版された「The (Wonderful) Wizard of Oz」を元にしている。が、実は原作者のボームは、「The (Wonderful) Wizard of Oz」以外にも「オズ」シリーズをたくさん小説や舞台、映画にしていたのだ。

 この作品もそんな「オズ」シリーズの1つであり、ドロシーやかかし、ブリキ、ライオンといったおなじみのキャラクターが登場するも、内容は少し異なっている。ちなみに、「オズのかかし」(The Scarecrow of Oz)という小説はボームに手によって1915年に出版されているが、この作品のノベライズであるという。

 「オズの魔法使」は出版、映画、舞台と、角川書店もびっくりのメディア・ミックスを映画草創期から行っていたことに少し驚いた。

 魔女モンビの手によって感情を失ってしまったプリンセス。プリンセスと愛し合っていた庭師と出会ったドロシーは、途中モンビたちの妨害にいながらも、かかしやブリキたちと協力して、プリンセスの感情を取り戻すためにオズの魔法使いに会いに行く。

 ストーリーはわかりやすく、すんなりと入ってくる。動物たちは明らかな着ぐるみで、まるで小学生の学芸会のようだが、最初からそういった雰囲気の作品として作られているので問題はない。時折挿入されるジョルジュ・メリエス流のトリックも映画の雰囲気に合っている。魔女をサンドウィッチの缶に閉じ込めた後、缶に書かれている文字の一部を消して「ウィッチ(魔女)」とするといったユーモアも楽しい。

 と、何も考えずに楽しめるこの作品だが、その裏のライマン・フランク・ボームのメディア・ミックス戦略の方が興味深い。

(ビデオ紹介)
 

His Majesty, the Scarecrow of Oz [VHS] [Import]

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