ロシア メイエルホリドの映画製作

 フセヴォロド・メイエルホリドは、芸術座でスタニスラフスキー(演技法で有名)の協力者だったが、スタニスラフスキーとは反対に様式化された演出を行ったという。そんなメイエルホリドは、「ドリアン・グレイの肖像」(1915)を自らの脚色・出演している。全3巻で82の場面からなる作品で、非職業俳優を起用し、細分化された急速なモンタージュが特徴的だったという。また、舞台装置にも気を配り、光と影(白と黒)を強調し、様式化を強調した。だが、商業的には失敗に終わったという。

 当初、メイエルホリドは映画に対しては否定的で、しぶしぶ演出を引き受けたという。撮影はアレクサンドル・レヴィツキー、美術はウラジミル・エゴーロフと一級のスタッフを揃えたが、いざ撮影が始まると、メイエルホリドは撮影、美術に口を出してワンマンぶりを発揮したという。また、劇場のボックス席の主人公たちだけが見え、舞台の光景はボックス席背後の大きな鏡に映し出されるという当時としては珍しい演出も行われているという。



(映画本紹介)

ロシア・ソビエトの映画史を概観するにはうってつけの1冊。