エッサネイ時代のチャップリンの作品「チャップリンの寄席見物」

 酔っ払った紳士のチャーリーは寄席見物をするが、観客や芸人相手にトラブルを起こす。2階の席では、労働者階級の男(チャップリンの2役)がトラブルを起こしていた。

 この作品は、おなじみのチャーリーは登場しない。金を持っていそうな紳士と、労働者階級の人物の2役をチャップリンは演じている。映画界入りする前に所属していたヴォードヴィルのカルノー一座での出し物に通じる内容だという。チャップリンは映画のネタのいくつかをカルノー一座時代の出し物に求めたというが、この作品は顕著な例といえるだろう。

 最後は火を使った出し物を見た労働者階級の男が、消火ホースを引っ張ってきて、劇場内のあらゆる人々に水をぶっかけるというアナーキーなラストで終わる。常道だが、王道である。

チャップリン・ザ・ルーツ 傑作短編集・完全デジタルリマスター DVD-BOX

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