キーストン社の作品「THAT LITTLE BAND OF GOLD」

 キーストン社製作 監督・出演ロスコー・アーバックル 出演メイベル・ノーマンド、フォード・スターリン

 メイベルと結婚したファッティだが、結婚生活に飽きたのか飲んだくれになっている。ある日、ファッティとメイベルとメイベルの母親は、オペラに出かける。そこで出会ったスターリングと2人の女性の連れと一緒に、ファッティはレストランへと逃げ出す。そんなファッティの行動はメイベルにばれてしまい、離婚の危機へと陥る。

 この作品では、フォード・スターリングが目立っている。アーバックルとメイベルの作品だと、ほんわかとした展開や、ドタバタに次ぐドタバタという展開になる。どちらにしても、明るくさわやかな雰囲気となる。だが、スターリングの登場により、この作品はセックスを感じさせるものとなっている。

 スターリングの連れである女性は豊満な肉体を持った女性である。スターリングは彼女の肉体的な魅力をいやらしく身振り手振りで表現してみせる。その影響もあってか、同じように身振り手振りで表現したり、女性を眺めたりするファッティの仕草や視線もいやらしいものとなっている。

 映画の展開は地味といってもいいだろう。ドタバタもなければ、大乱闘もない。その代わりにあるのはセックスだ。フォード・スターリングの参加もあって、この作品はこれまでのファッティ作品にはない、いやらしい雰囲気の作品となった。いやらしい作品の中だと、メイベル・ノーマンドのさわやかな魅力は影が薄い。