キーストン社の作品「FATTY'S FAITHFUL FIDO(デブ君の忠犬)」

 キーストン社製作 監督・出演ロスコー・アーバックル 出演アル・セント・ジョン

 ファッティが愛する女性にちょっかいを出すライバルの男(アル・セント・ジョン)。2人はレンガをぶつけ合うが、それを見ていたファッティの愛犬がライバルの男を追いかける。パーティになってもやり合っている2人の行動はエスカレートし、混沌へと向かう。

 以後のアーバックルの作品でコンビを組むことになるアル・セント・ジョンが目立っている。パワーのアーバックルと、素早さのアル・セント・ジョンのやり合いは、まるで巨漢レスラーとジュニア・ヘビー級のレスラーのプロレスの試合を見ているかのような面白さを感じる。愛嬌のアーバックルに対して、アル・セント・ジョンは素早いアクロバティックな動きという技を持っており、見ていて楽しい。アーバックルがアル・セント・ジョンとコンビを組んだ理由がわかる。だが、後にアル・セント・ジョンは似たような動きを武器にしたバスター・キートンの登場によって影が薄くなってしまうことを考えると少し悲しい。

 ラストの混沌はなかなか見所がある。ファッティのパワーと、アル・セント・ジョンのスピードが、キーストン流の混沌に収斂されていく(言葉としては矛盾しているが)のが気持ちいい。