フランス映画 ジャック・フェデーのデビュー

 後に「女だけの都」(1935)などでフランスを代表する映画監督のひとりとなるジャック・フェデーは、舞台の俳優から映画俳優となり活躍していた。そんなフェデーは、ゴーモン社で監督をしていたガストン・ラヴェルが、出征する際に後任にフェデーを推薦したことから映画監督へと転進した。

 フェデーはラヴェルの助手としても仕事をしており、撮影に興味を持っていた。また、当時は第一次大戦の影響もあり、演出家や製作者が不足していたという事情もあった。

 ゴーモン社でのフェデーは、シナリオにはルイ・フイヤードの承認を必要とし、ラヴェルとの間で意見の相違があった場合はラヴェルの意見が採用されたという。そんな中フェデーは、職人的に1日15時間働き、15日で1本の映画を製作したと言われている。

 「女の頭、賢い女」(1916)は監督第1作であり、ラヴェルによるシナリオを映画化した喜劇である。ゴーモン社には喜劇の監督が不足しており、フェデーが担当することになっていった。

 「締めつける足」(1916)は、アメリカの連続探偵映画のパロディである。著名な劇作家のトリスタン・ベルナールが協力者となり、ベルナールの知名度で話題となった。

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

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