フランス映画 アベル・ガンスの活躍

 前年(1915年)から映画監督・脚本家としての活躍を見せていたアベル・ガンスはこの年も活躍している。 

 「生きる権利」(1916)は、証券取引所を舞台にした大メロドラマであり、極端なストーリーとなっているという。技術的にも、透けて見える影の照明など工夫がされており、興行的にも成功した。

 「悲しみの聖母(悲しめる母)(嘆きの母)」(1916)もメロドラマである。ジョルジュ・サドゥールはこの作品を「俳優たちに対する優れた演出と<表情の動きを強調する明暗効果>が、この驚くほどの成功に貢献していた」(世界映画全史)と評している。

 これらの作品を製作したアベル・ガンスは、1916年にはフランスの映画監督の筆頭に躍り出たと言われている。

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

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