映画評「電話結婚」

原題「THE MATRIMANIAC」 製作国アメリ
ファイン・アーツ・フィルム・カンパニー製作
トライアングル・ディストリビューティング・コーポレーション配給
監督ポール・パウエル 出演ダグラス・フェアバンクス コンスタンス・タルマッジ

 ジミーとマーナは駆け落ちをすることに決めた。追いかけるマーナの父たちをかわしながら、牧師の元へ向かう2人だが、途中で離れ離れになってしまう。ジミーは牧師を連れて、マーナの乗った列車を必死に追いかける。

 当時多く作られていた2巻物(30分弱)の短編コメディによくあるタイプの話が。フェアバンクスの見た目がコメディアンらしくない(顔を白塗りにしたり、体格的に特徴があったり、奇抜な服を着ていたり)という点や、45分以上あるという点が、2巻物の短編コメディと違う点といえる。一方で、フェアバンクスが走り回り、飛び回るスピードの速さは、まさに短編コメディのものだ。フェアバンクスは、コメディのスピードを取り込みながらも、他のコメディ群にまぎれこまないように、コメディアンらしく見えないように工夫されているように見える。

 アイデアが平凡なこの作品は、正直47分は長すぎるような気もするが、なぜフェアバンクスが当時の多くの映画に出演していた俳優の中から突出した地位を得ることができたかの理由を感じ取ることができる作品である。