映画評「SNOW WHITE」

 製作フェイマス・プレイヤーズ 配給パラマウント 
 監督は、かつてエジソン社で映画監督として活躍したサール・ドーリー。

 グリム童話でおなじみの「白雪姫」の舞台版の映画化だという。製作したアドルフ・ズーカーがボスだったフェイマス・プレイヤーズ社のモットーどおり、「有名な作品を、有名な俳優で」製作された作品である。原作にある暴力的な部分はなるべくマイルドになり、子供向けに受け入れられやすい内容となっている。白雪姫を演じたマーガレット・クラークは舞台でも白雪姫を演じた女優で、この作品が製作されたときは33歳だったという。また、ウォルト・ディズニーが初めて見た長編映画がこの作品で、後に長篇アニメ第一号として「白雪姫」(1937)を製作するきっかけとなったと言われている。

 語られる物語は過不足なく説明され、ストレスを感じることなく物語を追うことができる。最大の見所は7人の小人たちのコミカルな寸劇だろう。ストーリーとは直接関係ないが、時間を割かれて展開される寸劇は、ストーリーを追うことのみに終始することなく余裕を持って時間の配分ができる、長編の利点を活かして、魅力を与えることに成功している。

 また、多くのメイドたちが囲んで白雪姫に着替えをさせるシーンでは、白雪姫が脱いだ衣服が映し出されることでセックス・アピールを映画に持たせているといえるだろう。

 ドーリーの撮影方法は単純で、カメラはほぼ固定で取られているものの、ストーリー自体のおもしろさと、時間的な余裕を使ったおもしろさによって、楽しい作品となっている。

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