映画評「LITTLE MARY SUNSHINE」

 バルボア・アミューズメント・プロデューシング・カンパニー製作 パテ・エクスチェンジ配給。

 監督・出演ヘンリー・キング 出演マリー・オズボーン

 孤児となった少女メアリーは、酒が元で婚約者シルヴィアに婚約破棄を言い渡されたばかりの青年ボブに拾われる。ボブは無邪気なメアリーの姿を見て、酒を断つ決意をする。

 マリー・オズボーンが演じている少女メアリーは、当時子役スターとして人気だった。ヘンリー・キング監督、マリー・オズボーンのコンビによるメアリー・シリーズが1916年から1919年にかけて製作されたのだという。そのことが証明している通り、この作品はメアリーの可愛らしさや無邪気さが中心となった作品である。

 メアリーの可愛らしさや無邪気さが主人公を立ち直らせるというストーリーは、他愛もないといってしまえばそれまでのものだが、この後も繰り返されることに黄金パターンともいえるだろう。

 映画はそんなストーリーの間に、熊が登場するシーンが挿入されている。現実や夢で熊と戯れるメアリーの姿は、ストーリーとは直接は無関係だが、映画にアクセントと特徴を加えている。

 長篇になった映画は、ストーリーを語るだけで汲々としていた短編とは異なり、この映画の熊のシーンのように遊びを加えることができるようになった。映画は遊びを加えることで、他愛のないストーリーも魅力的なものとなることができる。この映画がどこまで魅力的かは見る人の判断にゆだねるとしても。