映画評「THE SOCIAL SECRETARY」

 製作国アメリカ ファイン・アーツ・フィルム・カンパニー製作 トライアングル・ディストリビューティング配給
 監督・脚本ジョン・エマーソン 製作D・W・グリフィス 脚本アニタ・ルース 出演ノーマ・タルマッジ

 魅力的な容姿から、男の上司からのセクハラを受け、職場を転々とするメイム。わざと野暮ったい格好をして、金持ちの家の秘書になったメイムだったが、酒好きの息子に本当の姿を見られてしまう。

 非常に有りがちなストーリー、有りがちな設定ながら、非常に魅力的な作品だ。ダグラス・フェアバンクスの作品にも楽しさを盛り込むことに成功したエマーソンとルースのコンビは、この作品でもベタながらも楽しいストーリーを提供している。善玉と悪役がはっきり分かれていながらも、誤解や隠しごとなどによって緊張感の保った構成は見事だ。

 首までしっかりと隠れた黒い服、きちっとした髪、そしてもちろんメガネ。ベタな小道具によるベタな変身が活きているのは、タルマッジの魅力以外にない。1910年代後半から1920年代にかけて、メアリー・ピックフォードに対抗する人気を誇ったタルマッジの魅力が、この映画には満ちている。