チャップリンのミューチュアル社での映画製作
1916年に、エッサネイ社からミューチュアル社へと移籍していたチャールズ・チャップリンは、この年もミューチュアル社で映画を製作している。
ジョルジュ・サドゥールは、1917年からチャップリン映画は変わったと指摘し、次のように書いている。
「<それ自体が目的>であるような笑い、ファース、踊りは終わっている。この証人は判断し、告発している。彼の見かけの穏健さと控え目は彼の糾弾をより恐ろしいものにしている・・・・」(世界映画全史)
この年製作された作品には、「チャップリンの勇敢」「チャップリンの霊泉」「チャップリンの移民」「チャップリンの冒険」がある。
「チャップリンの勇敢」(1917)は、ロンドンの貧困が舞台となった作品である。この作品では、D・W・グリフィスが無条件に受け入れていたアメリカ映画の伝統的モラル(最後の救出、ハッピー・エンド、警官と牧師による幸福、信心による抑圧)をからかっている。
「チャップリンの冒険」は、「追っかけ」映画として完成された作品となっている。チャップリンはここでは、手法を節約して筋を運んでおり、1つのアクションで2つの笑いを取る術を心得ている。
「冒険」の製作においておもしろい事実がある。それは、撮影済だった性的なギャグのシーンが完成版からは削除されているという点である。このことは単に面白いだけの映画作りから、現在私たちがイメージするところのチャーリーのキャラクターの確立を、チャップリンが意図していたのではないかという指摘もある。
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