セシル・B・デミルの歴史物映画

 セシル・B・デミルはこの年、「神に見離されし女」「悪魔石」「ヂャン・ダーク」といった作品を監督している。「神に見離されし女」は、スペイン軍によって滅ぼされるメキシコのアズテク族の歴史劇であり、「悪魔石」はデミルの母親の創作による「神に見離されし女」と同系統の歴史劇だという。「ヂャン・ダーク」は、「カルメン」(1915)のジェラルディン・ファーラー主演のジャンヌ・ダルクを主人公とした作品だが、第一次大戦アメリカが参戦した影響もあり、連合軍と英雄主義を賛美した内容となっているという。デミルはメアリー・ピックフォード主演の「小米国人」(1917)も監督している。この作品も時節に合わせて、ドイツ軍からピックフォードが救出されるという内容となっている。

 当初デミルは舞台の映画化を行っていたが、この頃には「歴史物」に活路を見出していた。だが、このデミルの考えは製作費がかかるために、会社側のジェシー・ラスキーらは批判的だった。そこでラスキーを始めとする会社側は、製作費が歴史物ほどかからずに利益が見込める社交界を描いた現代物の製作をデミルに命じ、デミルはしぶしぶ受け入れることになる。



(映画本紹介)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)