モーリス・トゥルヌール 絵画的スタイルの映画監督
モーリス・トゥルヌールはフランス生まれのフランス人で、舞台から映画界入りした人物である。1910年頃から、フランスのフィルム・ダール社とエクレール社の作品に傍役で出演した後、助監督を経て、監督としてエクレール社で活躍(1912−1914)した。
1914年5月、ニューヨーク近郊でエクレール社の作品を演出していたが、第一次大戦が勃発。アメリカのワールド・フィルムの監督となり、「モデルの生涯」(1915)といった作品を監督している。俳優、舞台監督、画家の経歴を生かした監督ぶりだったという。
1917年からはパラマウント系のアートクラフト社で活躍し、サハラ砂漠をうまく活かした「砂漠の人影」(1917)やメアリー・ピックフォード主演の「金持ちの哀れな少女」(1917)を監督している。
撮影、雰囲気を醸し出すことこそが、トゥルヌールの最大の関心事だった。ルイス・ジェイコブスはトゥルヌールが映画に絵画的なスタイルを持ち込んだと指摘している。トゥルヌールは映画は芸術ではないと思っており、題材の平凡さに復讐するために表現形式を極端に重視したとも言われている。一方で、ジョルジュ・サドゥールは、トゥルヌールの作品が「人間そのものを忘れ去っていることがあまりにも多かった」とも語っている。
また、トゥルヌールは、後に監督として活躍するクラレンス・ブラウンと俳優のジョン・ギルバートを育てた点でも評価されている。
また、トゥルヌールと同じようにフランスからアメリカへ渡ってきていたエミール・ショタールは、第一次大戦の勃発によりパラマウントで仕事をしていた。ショタールは1917年から18年にかけて、ノーマ・タルマッジ、クララ・キンボール・ヤングといったスターの作品を手がけた。これらの作品の演出は、豪奢だが洗練されていたと言われている。
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