ウィリアム・フォックス 活動の場をハリウッドへ

 積極的に映画製作を行い、セダ・バラの売り出しなどで成功を収めたウィリアム・フォックスはこの年、本拠地を東海岸からハリウッドへと移している。

 ハリウッドへ移ってきたフォックスは、スターの獲得に努めた。MPPCの一員の映画会社だったシーリグ社と契約していた人気西部劇スターのトム・ミックスと契約を結んでいる。以後60本以上の長編映画を製作し、1920年代のフォックスの稼ぎ頭となっていくこととなる。他にも当時のスターだったウィリアム・ファーナムとも契約を結んだ。

 また、監督陣の充実も図り、ハーバート・ブレノン、フランク・ロイド、ラオール・ウォルシュといった人たちと契約を結んでいく。

 フランク・ロイド監督・脚本でウィリアム・ファーナム主演作品として、チャールズ・ディケンズ原作の「二都物語」(1917)が作られている。ファーナムは二役を演じており、2人が一緒に登場するシーンでは二重露出で描写されたという。ロイド、ファーナムのコンビでは「米国式」(1917)という作品も作られている。

 「愚者ありき」(1915)で売り出しに成功したセダ・バラ主演の作品も「椿姫」「クレオパトラ」(1917)が作られている。



(映画本紹介)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)