衰退するイタリア映画
イタリアでは「ディーヴァ」と呼ばれた人気女優が主演するメロドラマが多く作られていたが、人気女優のスター主義に陥っていき、徐々に衰退していった。
その他の分野では、ザ・ラ・モールというヤクザ者をボスにした2本のシリーズ物で人気を得ていたエミリオ・ギオーネが、ルイ・フイヤードを模範にした連続映画「灰色の鼠」(1917,8)を製作している。他にもギオーネは、ロベルト・ブラッコ原作のギオーネ監督・主演「ドン・ピエトロ・カルーゾ」(1917)も送り出している。
イタリアの未来主義映画運動はアヴァンギャルド的な作品を生み出していたが、1917年には、アントン・ジュリオ・ブラガリアが凹面鏡と凸面鏡を利用し、バレリーナのイレアナ・レオニードフ主演の「不実な魅力」(1917)を製作している。
第一次大戦の影響やアメリカ映画の攻勢の前にイタリア映画は衰退していき、イギリスは1916年、フランスは1918年にイタリア映画に対して市場を閉鎖し、イタリア映画にとってはスペインや南米の国だけが輸出先となる状況に陥っていった。
そんな中、恐怖映画など新奇さに重点を置くも、質的競争で敗れたアクイラ・フィルムが破産宣告を受けている。1916年に、ウーゴ・ファレーナを失ったイタリア芸術映画社は、1917年に弁護士のメケリが株を取得してティベール社と提携している。
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