1917年のロシア映画作品

 ロシア革命に揺れた1917年のロシアでは、ニュース映画やドキュメンタリー以外の劇映画も製作されていた。だが、フィルムが不足し、ほとんどの作品は大急ぎで、わずかな資本で製作されたという。

 商業映画の分野ではラスプーチンを題材した作品や、社会主義者・革命家の伝記映画が多く作られた。

 ヤーコブ・プロタザーノフ監督、イヴァン・モジューヒン主演の「アンドレイ・コジューホフ」(1917)は、テロリストの伝記映画であり、8巻(約2時間)の長さがあった。ロシアではヒットし、1925年まで上映されたという。

 その他の作品としては、「ペェター・セルギー(セルギー神父)」(1917〜1918)が挙げられる。

 ヤーコブ・プロタザーノフが監督したこの作品は、検閲で禁じられていたトルストイの原作を映画化したものであり、イヴァン・モジューヒンが注目すべき演技を見せているという。帝政ロシアの貴族への批判を込め、宗教に身を投じる若き貴族が描かれており、誘惑に悩まされる若き僧侶が斧で自分の人差し指を切断するシーンが見せ場だという。舞台装置、配役、照明に配慮がされており、ロシア映画が到達した高い芸術を証明していると言われている。

 また、劇作家のフセヴォロド・メイエルホリドは、1917年夏にフョードル・ソログープ原作「幽霊の魅力」の映画化に着手したが、革命のため中断し、未完成に終わった。



(映画本紹介)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)