バスター・キートン出演作「おかしな肉屋」

 原題The Butcher Boy 製作国アメリ
 コミック・フィルム製作 パラマウント・ピクチャーズ配給
 監督・脚本・出演ロスコー・アーバックル 出演バスター・キートン アル・セント・ジョン

 肉屋に勤めるファッティは、主人の娘と恋愛関係にある。娘が入っている寄宿学校に女装して侵入するファッティだが、恋敵のスリムも女装して侵入してきて鉢合わせ。ドタバタの末、ファッティと娘は2人で逃げ出し、結婚することになる。

 バスター・キートンが出演しているが、作品としては完全にロスコー・アーバックルの作品となっている。アーバックルの作品で、比較的簡単に見られるものは、チャップリンも出演しているキーストン時代の「ノックアウト」だ。「ノックアウト」のアーバックルには、それほど「芸」を感じなかったのだが、この作品では多少「芸」を感じるシーンがある。肉を包丁で後ろに投げて鉤に引っ掛けたり、包丁を上に放り投げるとまな板に垂直に刺さったりと、チャップリン的な「芸」を見せてくれる。

 また、御決まりのパイ投げでは、肉屋の広いセットを左右だけではなく1階と2階も使い、縦横無尽にパイが行き交う様子が混沌さを増している。さらに、パイを投げると粉が舞うために、硝煙のようにも見え、戦場のような混乱さを感じさせる。

 アーバックルが女装をするという展開は、わかりやすく受けを狙っているようにも感じられるが、童顔のアーバックルに女装が意外と似合うことの方が先に立ち、あまり嫌味には感じられなかった。

 キートンはそれほど存在感を発揮してはいない。肉屋でパイ投げになったときに、スルスルっと柱を使って2階に登っていくシーンに身体能力の高さは見え隠れしてはいたが。



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