映画評「RAFFLES, THE AMATEUR CRACKSMAN」

 製作国アメリカ  ハイクラス・プロデューシング・カンパニー製作 ヒラー・アンド・ウィック・インク配給
 監督ジョージ・アーヴィング 原作E・W・ホーナング 出演ジョン・バリモア、クリスティン・メイヨー

 盗賊のラッフルズは、船上でダイヤを奪い逃走。イギリスにもどった後は、豪華なネックレスを狙う。だが、船上でラッフルズに恋に落ちた女性が登場したり、腕利きの探偵が現れたりと様々な邪魔が入る。

 ジョン・バリモアの颯爽ぶりが見ものの作品である。いつもは貴族然とした、ゆっくりとした身のこなし。だが、ここぞという時には素早い動きで周りの人間たちを翻弄するのだ。この変貌ぶりは、盗賊としての本性を時折見せる瞬間にも現れており、根っからの盗賊であることを感じさせる。

 ストーリーはそこそこの複雑さながら、この手の作品にありがちな複雑すぎる展開にはなっていない。また安易なメロドラマ、安易な人情話にもなっておらず、怪盗の活躍ぶりに焦点が合っている。演出は特筆すべき点はないものの、スムーズに物語を紡いでいく。

 スタッフもキャストも、バリモアという題材を使って、楽しい娯楽作を作り上げようとしており、その意図は満たされていると言えるだろう。