メアリー・ピックフォード出演作「M’LISS」

 製作国アメリ
 ピックフォード・フィルム製作 パラマウント・ピクチャーズ配給
 監督マーシャル・ニーラン 脚本フランシス・マリオン 出演メアリー・ピックフォード

 ある田舎町。お転婆なメリッサは、新しく赴任してきた学校の先生チャールズに淡い恋心を抱くようになる。そんなある日、遺産目当てでメリッサの父親は殺され、その犯人としてチャールズが逮捕される。メリッサはチャールズの無実を信じているが、チャールズは有罪を宣告される。

 ストーリーは他愛もない。だが、この映画は魅力的だ。メアリー・ピックフォードは、ずり落ちるズボンをたくし上げるなどの仕草などを工夫し、お転婆なメリッサを見事に演じている。一方で、逮捕されたチャールズと留置所の窓にはめられた鉄棒越しに見つめ合うシーンでは、これまでに見たピックフォードの表情の中で最も美しいと思わせるショットを見せてくれる。ピックフォードは自らを知り尽くし、自分が映えるストーリー、演技、撮影を心得ているかのようだ。そして、最後はもちろんハッピー・エンドだ。

 この頃のピックフォードの作品は、ピックフォードが「アメリカの恋人」と言われるほどの人気を得ていた理由がとてもよくわかる。肩は凝らないし、楽しいし、明るい気持ちになる。だが、この頃のピックフォード映画の成功は、後に別の役柄への脱皮を目指すときにピックフォードを苦しめることになる。