ルドルフ・ヴァレンティノ出演作「THE MARRIED VIRGIN」

 製作国アメリ
 マックスウェル・プロダクション製作 ジェネラル・フィルム配給 
 監督ジョゼフ・マックスウェル 出演ルドルフ・ヴァレンティノ

 富豪である夫ジョン・マクミリアンのかつての犯罪を知ったマクミリアン夫人は、愛人のロベルトにその旨を伝える。ロベルトは、ジョンの娘であるメアリー・マクミリアンと結婚して、多額の資産を手に入れようとする。

 「黙示録の四騎士」(1921)でスターダムにのし上がる前のルドルフ・ヴァレンティノが出演した作品である。監督を務めているジョゼフ・マックスウェルは、自身のプロダクションでこの映画を製作したようだが、この映画のみで映画界から消えている。

 ルドルフ・ヴァレンティノは単独の主役ではなく、4人のアンサンブル・キャストの1人として出演している。あくどいキャラクターは、ぴったりとなでつけられて黒光りした髪形もあり、ヴァレンティノにぴったりとはまっているように感じられた。

 メアリーとの結婚を条件に、ヴァレンティノは富豪のジョン・マクミリアンの過去の犯罪をばらさないことを約束し、メアリーもそのことを承知で本意ではない結婚式を挙げる。結婚式では、登場人物たちがみな無表情で、陰惨な雰囲気を出しているのに成功している。

 複雑なストーリー自体は、偶然の要素が多いとはいえ、なかなか凝っている。ただ、字幕に頼りすぎているとも思われるが。

 ブレイク前のヴァレンティノを見られる作品として貴重かもしれないし、ヴァレンティノは魅力の一端を見せてくれる。だが、個人的にヴァレンティノ以上に気になるのは、1作だけを作って映画界から消えていったジョゼフ・マックスウェルという人物だ。当時の、映画界ではマックスウェルのように、映画界での成功を夢見て、夢破れた人が大勢いたのだろうか。