モーリス・トゥルヌール監督作「青い鳥」

 原題「THE BLUE BIRD」 製作国アメリ
 フェイマス・プレイヤーズ・ラスキー製作、配給 監督モーリス・トゥルヌール

 モーリス・メーテルリンクの原作「青い鳥」の映画化。

 チルチルとミチルの兄妹は、幸せの青い鳥を探す旅に出る。旅に出た先で2人が見るのは、様々なものが持つ命であったり、死んだ祖父母であったり、まだ見ぬ未来の弟や妹の姿だった。

 チルチルとミチルが青い鳥を探す過程で様々な不思議に出会う様子を、タブロー形式で描かれている。2人は旅を通じて、万物には生命が宿っていることを知り、人は死んでも永遠であることを知り、命が素晴らしいものであることを知る。

 映画はあらすじをなぞるように進む。非日常的な童話の世界の雰囲気を、トゥルヌールは逆回しや二重露出といった映画技法に、コスチュームやセットを工夫することで見事に表現している。

 「青い鳥」にメーテルリンクが込めた含意は一言では言えないものがある。童話の形式ながらも、大人が見ても考え込ませるものがある。それを見た目の面白さや奇抜な発想で包み込んでいるところに、メーテルリンクの力を感じさせる。映画も、見た目で楽しませることに成功している。

 注目すべきはラストだろう。突如、カメラの方に向かってきたチルチルは観客に向かって話しかける。「You」という二人称を使って、話しかける。「青い鳥はみんなの心の中にある」と。

 この映画は、「有名な作品」を映画化することを売りにしたフェイマス・プレイヤーズ・ラスキーの作品がどういうものであったかを教えてくれる。原作からは基本的に外れず、映画的なおもしろさを加え、最後にはわかりやすく解説までしてくれるのだ。