エーリッヒ・フォン・シュトロハイム出演作「THE UNBELIEVER」

 製作国アメリ
 エジソン社製作 監督アラン・クロスランド 出演エーリッヒ・フォン・シュトロハイム

 中流階級の若者であるフィリップが、第一次大戦に出征することで、神への考え方、階級への考え方などが変わる。

 エジソン社は映画草創期から映画制作の面でも活躍したが、MPPCの失敗、作品の興行的な不振などで、衰退していく。この作品は、そんなエジソン社が発表した最後の商業的な作品である。

 エジソン社は、赤十字と組んで「THE LAND BEYOND THE SUNSET」(1912)といった作品を製作したりもしているが、この作品でもアメリカ海軍の協力を得て大規模な戦闘シーンの撮影に成功している。エジソンの圧倒的な社会的な地位や知名度がなせる技だろう。

 当時、第一次大戦に参戦中だったアメリカでは、プロパガンダ的な作品が多く作られていたが、この作品の主張は比較的冷静だ。基本的にはもちろんアメリカ寄りではあるのだが、単純にアメリカ軍=善/ドイツ軍=悪といった主張ではなく、悪いのは戦争そのものであるという主張がなされている。かなり脇のエピソードではあるものの、移民の国アメリカならではの問題であるドイツ系移民の苦悩も描かれている。

 おもしろいかと聞かれると、そうでもない。あまりにも教科書的な主人公フィリップの成長、海軍の協力を得ることで大規模ではあるが工夫に乏しい戦闘シーン。主張は立派だとは思うが、語り方は今ひとつだ。

 そんな中、異色を放っているのがエーリッヒ・フォン・シュトロハイム演じるドイツ人将校だ。幼い少女も老婆も容赦なしに銃殺してしまう。タバコをふかしながら人を殺す命令を下すシュトロハイムの姿は、特徴に乏しいこの作品を活気付けている。

 この作品は、エジソン社の映画全体を特徴付けているようだ。エジソン社をはじめとしたMPPCによる映画は、独立系の映画と比べてつまらなかったと言われている。しかし、この作品に限らず、これまでに見てきたエジソン社の映画の中にはおもしろい作品もあれば、胸を打たれる映画もあった。ただ、特徴がなく、唯一無二の何かがないのだ。この作品もそんな映画である。

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