映画評「カルメン」 エルンスト・ルビッチ監督作
製作国ドイツ 原題「CARMEN」 PAGU、ウーファ製作 ウーファ配給
監督エルンスト・ルビッチ 脚本ハンス・クレリ、グレーテ・ディークルス、ノルベルト・ファンク
原作プロスペル・メリメ 撮影アルフレッド・ハンセン 出演ポーラ・ネグリ、ハリー・リートケ
有名な「カルメン」の映画化。兵士のドン・ホセは、妖艶なカルメンと出会い、恋に落ちる。だが、カルメンを巡って上官を殺してしまったホセは、カルメンやカルメンの仲間たちと同じジプシーの生活を送るようになる。
歴史大作を手掛けるようになり、ドイツを代表する監督となるルビッチが、過渡期に手掛けた作品である。当時「カルメン」は人気の題材で、セシル・B・デミルはジェラルディン・ファーラーを主演に1915年に監督している。他にも、ラオール・ウォルシュが監督し、セダ・バラが主演したバージョンもあるという。コメディとしては、チャールズ・チャップリンが「珍カルメン」(1915)を製作している。
イメージとぴったり合ったカルメンを、ネグリはさすがに妖艶に演じている。だが、ルビッチの演出はどこか中途半端で、ドン・ホセの悲劇は盛り上がりに欠けたまま終幕を迎えているように思えた。