スウェーデン モーリッツ・スティルレルの「吹雪の夜」

 喜劇の分野で活躍していた監督のモーリッツ・スティルレルは、セルマ・ラーゲルレーヴの小説の映画化で、16世紀を舞台とした歴史劇である「吹雪の夜」(1919)を監督している。

 陰謀の罪で投獄された3人が雪の日に逃走し、人里離れた家に逃げる。主人を殺して金を奪った3人は、近くの宿屋に隠れる。殺した主人の姪が偶然その宿屋で働いており、3人の1人を愛するようになるが、結局は3人とも捕らえられる。セットと自然を調和させた作品で、移動撮影も巧みだったという。特にラストの俯瞰撮影が効果的だったと言われる。

 ちなみに、1919年の秋にはスヴェンスカ・ビオ社とスカンディア社が合併して、スヴェンスク・フィルムインドゥストリ社が設立されている。この合併によってスウェーデンの映画産業は強固なものとなり、社長に就任したシャール・マグヌッソンは、アメリカ映画やドイツ映画に押されている状況を打破するために、国際的な題材を扱った大作で対抗しようとしたという。