その他の国々 1919年

 中国では、アメリカのユニヴァーサルが中国ロケに訪れた際に、中国の出版社であり、映画製作会社でもあった商務印書館に協力を求めている。撮影後、ユニヴァーサルは機材を商務印書館に譲り渡したという。商務はスタジオも建設し、人気のあった京劇の女形メイ・ランファンが監督・主演した「春香鬧額(チュンシャンナオシュエ)」「天女散花(ティエンニューサンホァ)」(1919)といった作品を製作した。

 ハンガリーでは、1919年に映画が国有化されている。その後、コミューンの崩壊によってパルチザンへの抑圧が強まり、アレクサンダー・コルダやマーケル・カーティーズといった後に活躍する映画人たちが亡命していくことになる。

 スペインでは、スペイン映画草創期から活躍するフランクトゥオッソ・ヘラベルトが、パトリア・フィルムス社とアトランティダ社の共同製作である「国王夫妻の贈り物」「トルメスのメソンの女将」(1919)を製作している。また、スター女優だったマリア・コメンダドールは、「船乗りの復讐」(1919)に出演している。

 インドでは、インドの劇映画第一作「ハリシュチャンドラ王」を監督したダーダーサーヘブ・ファールケー監督による、「クリシュナの水蛇退治」(1919)が作られている。古典「ラーマーヤナ」のエピソードを元に、監督自身の娘をヒロインとして作られ、特殊撮影も行われたという。ファールケーは他にも多くの映画を監督し、その数は100本以上になるという。

スペイン映画史

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