映画評「悪魔絶滅の日」

 製作国アメリカ 原題「SCARLET DAYS」
 D・W・グリフィス・プロダクションズ製作 アートクラフト・ピクチャーズ・コーポレーション配給
 監督・製作D・W・グリフィス 脚本スタナー・E・V・テイラー 撮影G・W・ビッツァー
 出演リチャード・バーセルメス、ユージン・ベッサラー、キャロル・デンプスター、クラリン・シーモア

 母親が西部にいることを知ったフェアは、東部からは母親の元へと向かう。だが、母親のロージーは貯めた金を奪われそうになったことから女性と争いになり、死なせてしまう。死刑に決まったロージーだったが、フェアと数日間を過ごすことを許される。

 D・W・グリフィスによる西部劇で、クライマックスには小屋の襲撃といったアクションも見られる。一方で、フェアとロージーの母娘の愛や、男女の恋愛といった要素も盛り込まれた作品である。

 どこか冴えていない印象の作品である。ヒロインを演じるデンプスターに、リリアン・ギッシュほどの魅力が感じられないためかもしれない。多岐にわたる物語が、多岐に渡りすぎて拡散しすぎているからかもしれない。グリフィスの演出も緩慢で、これといった見どころがないためかもしれない。グリフィス作品の特徴である大仰さがないためかもしれない。

 唯一驚いたのは、「散り行く花」(1919)で中国人を演じたバーセルメスが演じるメキシコ人が、バーセルメスだと分からないほど見事ななりきりぶりだったことだ。

 レイプを暗示するシーンが当時としては、ショッキングだったという。だが、それは映画の勉強としては重要かもしれないが、映画を楽しむうえでは大きな影響は与えない。