映画評「可愛い小悪魔」

 原題「THE DELICIOUS LITTLE DEVIL」 製作国アメリ
 ユニヴァーサル・マニュファクチュアリング・カンパニー製作・配給
 監督ロバート・Z・レオナード 出演メエ・マレー ルドルフ・ヴァレンティノ

 貧しい家の育った元気なメアリーは、踊り子になるために、公爵と噂になっているダンサーと身分を偽称する。そこで、金持ちの息子ジミーと親密になるが、当の公爵がやって来てしまう。

 ルドルフ・ヴァレンティノが有名になる前の作品で、主役は当時人気のあったメエ・マレーである。「可愛い小悪魔」でもマレーは、他でも指摘されている通り、メアリー・ピックフォードに似た表情や動きを見せる(主演女優が誰かを知らずに見たため、途中でピックフォードがメイクを変えて演じているのではないかと思ったくらいだ)。さらには、「男性と女性」(1919)のグロリア・スワンソンの入浴のパロディともとれるシーンがあるが、調べて見たら「男性と女性」の方が後に公開されていた。もしかしたら、「男性と女性」の方が「可愛い小悪魔」を見て取り入れたのかもしれない。

 内容は、気楽に楽しめるコメディだ。マレイは軽やかに演じているし、ヴァレンティノも白馬の騎士役をこなしている。毒にも薬にもならないと言ってしまえばそれまでだが、世の中そういうものも必要である。