映画評「ハート張り」

 原題「BILLY BLAZES, ESQ.」 製作国アメリ
 製作ローリン・フィルムス 配給パテ・エクスチェンジ
 監督・製作ハル・ローチ 出演ハロルド・ロイド

 荒くれ者たちが集う西部の街に、ビリーという1人の青年がやって来る。青年は、荒くれ者たちをやっつけて、街に平穏を取り戻し、去っていく。

 当時、よい心を取りもどす悪人役を演じて人気を得ていたウィリアム・S・ハートの西部劇をパロディとして描いた作品だという。役名の「ビリー・ブレイズ」や13分という短編であることから推測して、ハート以前に短編の西部劇で人気を集めたブロンコ・ビリー・アンダーソンも意識しているのではないかと思うが、真偽はわからない。

 他の作品では気弱な役を演じているロイドは、この作品では勇敢な西部の男を演じている。最大の見せ場は珍妙なガンさばきで、よく考えるとロイドよりも西部の男が似合う役者ならば、格好良く見えるかもしれないが、見た目が西部の男とは程遠いロイドがやると珍妙に見える。

 この作品は、気軽に楽しめる作品であると共に、ロイドの幅の広さを感じさせてくれる。