映画評「THE DETECTRESS」

 製作国アメリ
 製作ブルズ・アイ モデル・コメディエンヌ
 監督・主演ゲイル・ヘンリー

 女性探偵のリジーは、盗まれた秘密のメガネの設計図を取りもどすために、チャイナタウンへと侵入する。

 中国人をコメディのダシとして使い、正確な描写がされていない点を指摘してもあまり意味がないだろう。それよりも、この作品が優れたコメディであることを指摘したい。

 盗まれたと思われた設計図が、主人公のリジーのポケットにずっと入っている(しかも、観客にはそれが見えている)という設定からして、見事にコメディだ。加えて、チャイナタウンのマフィアが作った落とし穴をうまくギャグが、見事にコメディだ。落とし穴は水の溜まったプールに落ちるのだが、リジーは仲間である警官を何回上の階に送り込んでも、何回も何回も落とし穴から落ちてくるのだ。

 反復の楽しさは、この映画のコメディの原動力となっている。忍者屋敷のような回転扉は、リジーと警官が同じタイミングで移動するために、いつまで経っても会えないし、チャイナタウンのマフィアたちはリジーたちを追いかけていつまでも回転扉をグルグル回り続ける。

 後に様々なコントでも見受けられるギャグも多いが、今ではこのようなコントもあまり見られなくなった。製作に金がかかるからだろうか?そうなってくると、この作品のようなコメディは貴重だ。