「馬鹿息子」 バスター・キートンの初長編
キートンが製作した作品は2巻(約30分)の短編がほとんどだったが、メトロ社の企画で「馬鹿息子」(1920)というキートン主演の長編も作られている。当時大スターでも5巻物がせいぜいだったが、7巻物で製作され、1920年のメトロ社の最大のヒット作となったという。ちなみに、この「馬鹿息子」撮影中に、ジョゼフ・スケンクはかつてのチャールズ・チャップリンの撮影施設を買い取り、キートン撮影所と命名している。
「馬鹿息子」はヒットし、キートンは長篇だけを撮影しようと提案したが、スケンクに拒否されたと言われている。キートンはこの件について「バスター・キートン自伝」の中で次のように書いている。
「もしこの議論に勝っていたら私の将来は大きく変わっていただろう。チャップリンもロイドもまだ当時長篇は作っていなかったから、私は二人に大きく差をつけてスタートできたはずだ」
結局キートンは1920年から1923年までの期間に、18本の短編映画を製作していくことになる。
バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)
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