奇術師フーディーニの映画

 1919年から本格的に映画に出演するようになっていた、世界的に有名だった奇術師であるハリー・フーディーニは、「恐怖島(Terror Island)」(1920)に出演している。

 「恐怖島(Terror Island)」(1920)は、潜水艦を発明したフーディーニ演じる主人公が、宝石と女性を巡って悪者と争うというストーリー。フーディーニの脱出のシーンは、つねに全体を捉えるミドル・ショットで撮影されていた。これは、トリックを疑われるのを避け、フーディーニの脱出の技量を観客が存分に鑑賞するための処置だった。また、この作品には、潜水艦や新型潜望鏡(有線テレビ式)といったアイテムが登場し、フーディーニが新しい物が好きだったということを示しているという。

 フーディーニはこれらの作品への出演を通して映画への興味を深めていき、1920年に50万ドルの資本金でフーディーニ・ピクチャー・コーポレーションを設立している。この会社によって、フーディーニは自らが中心となった映画製作を行うことになる。