映画評「THE FLAPPER」

 セルズニック・ピクチャーズ製作 セレクト・ピクチャーズ配給
 監督アラン・クロスランド 脚本フランシス・マリオン 出演オリーヴ・トーマス

 寄宿学校で学生生活を送るジンジャーは、同世代のトムと仲良し。だが、毎日寄宿学校にやって来る年上のリチャードに憧れてもいる。年齢を年上に偽ったジンジャーは、リチャードとダンス・ホールに行くことに成功するが、バレてしまう。

 今ではあまり知られていないが、オリーヴ・トーマスは当時人気スターだった女優である。彼女は1920年に薬物の多量摂取で亡くなり、初期ハリウッドのスキャンダルの1つとして名を残すことになる。

 この作品は、そんなトーマスが主演した作品だ。当時、メアリー・ピックフォードに代表されるような少女役でもなく、グロリア・スワンソンが演じたような大人の女性役でもなく、その中間とも言える思春期の少女をトーマスは魅力的に演じている。

 マリオンによる脚本は、ちょっと背伸びをしたがる思春期の女性の姿をしっかりと捉えている。年上の男性に憧れる女学生たちの姿は、微笑ましい。

 思春期の少女たちを的確に描いている点で、この作品は同時期のほかの作品にはない魅力を保持している。しかし、後半に入って主人公のジンジャーが宝石泥棒に巻き込まれてからは、よくある犯罪ものになってしまっている。サスペンスの演出という面で見ると、あまり冴えがないこともあって、前半の思春期ならではのキラメキが失われているのが残念だ。