映画評「SOMETHING NEW」

 製作国アメリカ  製作・監督・脚本・出演ネル・シップマン 

 若い女流小説家は、新しい題材を探してメキシコへ行く。メキシコで盗賊団に襲われて誘拐された小説家を、自動車に乗ったビルという男性が助けに向かう。

 奇妙な映画だ。メインは自動車だ。タイトルにあるような「新しい何か」は、かつての馬と同じような移動手段として新しく登場した自動車を指している。マックスウェルという当時の自動車会社のものを使用し、川や草原や岩山を走る、走る、とにかく走る。時間にすると約1時間の上映時間のうちの3分の2は自動車のシーンである。

 自動車が悪路を走るシーンでは、特に工夫はされていない。たとえば盗賊団が邪魔をするとか、途中でエンジンが止まるとか、そういった危機はない。とにかく、自動車が走るシーンが映し出される。岩山を慎重に登ったり降りたりするシーンは、足をつけないで山などの決められたコースを走るバイクトライアルのような面白さがある。

 見ながらずっと思ったことに、車より馬の方が速いのではないだろうかということだ。草原などでは車の方が速いと思うが、悪路は馬の方が速いと思う。目くじらを立てて言うほどのことではないが。