映画評「ロイドの化物屋敷(ロイドの化け物退治)」

 原題「HAUNTED SPOOKS」 製作国アメリ
 ローリン・フィルムス製作 パテ・エクスチェンジ配給
 監督アルフレッド・J・グールディング、ハル・ローチ 出演ハロルド・ロイド ミルドレッド・デイヴィス

 愛する女性に振られて自殺をしようとするも失敗を繰り返すロイドは、別の女性と結婚することになり新居へ向かう。しかし、その屋敷は化物が徘徊する屋敷だった。

 テンポがよく楽しい一編となっている。冒頭のロイドが自殺をしようとして川に飛び込むとくるぶしまでも水がない浅瀬だったり、運悪く(良く?)ボートに着地したり、汽車に轢かれようと線路に立つと隣の線路を通り過ぎたりといったギャグが次から次へと繰り出される。

 化物屋敷に到着してからのドタバタもテンポがよく、下半身だけで歩くズボンを見て(少年が大人もののズボンに入って歩いている)、髪の毛がすべて逆立つという落ちも決まっている。

 原題はの「Spooks」は当時黒人を指すスラングだったらしい。化物の現れる屋敷で働く黒人たちの描写は、怖がる様子をステレオタイプに描いている部分もあり、人種差別的な面が指摘されている。

 また、ロイドはこの映画の撮影中にスチール写真の撮影中の爆弾の事故で右手の指を失っている。そのため、屋敷に着いたあとは手袋をしている。