映画評「ロイドのずるい若様」

 原題「HIS ROYAL SLYNESS」 製作国アメリ
 ローリン・フィルムス製作 パテ・エクスチェンジ配給
 監督・製作ハル・ローチ 出演ハロルド・ロイド ミルドレッド・デイヴィス


 某国の王子によく似たロイドは、国に戻りたくない王子の身代わりを務めることに。ロイドは結婚相手の王女の愛を掴むが、民衆たちは革命の準備をしていた。

 ストーリーが非常に工夫されていて、単純なギャグ映画以上のものを感じさせる。民衆の怒りや革命を扱っているという点で、当時ロシア革命が起こっていたことと関連付けたコメントも見られるが、深刻さはなく、カラっとした作品となっている。

 革命を描いているという点よりも、1人の平凡なアメリカ人が偶然からとはいえ成り上がっていく様子を描いているとも言えるこの作品は、後にハリウッドの定型の1つとなる「サクセス・ストーリー」ともなっているという点で興味深い。

 ちなみに、ロイドそっくりの王子様は、ロイドの実の兄だという。