映画評「DE-LIGHT; MAKING AN ELECTRIC LIGHT BULB」

 製作国アメリ
 フォード・モーター製作、ゴールドウィン・ディストリビューティング配給

 当時大手の企業は「教育映画(EDUCATIONAL FILM)」と題して、自分たちの仕事についての映画を、宣伝も兼ねて製作していた。この映画は、フォード・モーターが電球の大量生産を可能にした方式について、フィラメントの素材であるタングステンの採掘から電球の完成までを、一連の流れに沿って映像化している。

 小学生のときに視聴覚室で見た、さまざまな教育映画の1920年頃のバージョンといえるだろう。映画は教会や学校、そして映画館で上映されたという。当時、映画は低俗さを批判されたりもしており、批判を避けるためにも配給業者はこういった作品を上映したという。この作品は、大プロデューサーとしても活躍するサミュエル・ゴールドウィンの会社が配給している。

 映画自体は、決して興奮を覚えるというものではないが、当時の電球の作り方がわかるだけでも面白い。特に流れ作業によって大量生産が可能になったといっても、電球自体はガラス工芸のように男性が息で膨らませて作られている点に、手仕事と工場による大量生産の過渡期の時代を感じた。