チャールズ・チャップリンの「キッド」
チャールズ・チャップリンの15ヶ月ぶりの新作となる「キッド」(1921)が公開されている。
「キッド」は1年以上かけて撮影が行われ、30万ドルをチャップリン自身が投資し、17万メートルのフィルムが使用されたと言われている。
ジョルジュ・サドゥールは「世界映画全史」の中で、「キッド」について次のように書いている。
「連れ去られたり、自動車の中に置き去りにされる子供との別れのシーンでは、チャップリンは、自分自身の子供時代を再体験し、強烈なドラマ性の最高潮に達している。その時、彼の顔面をよぎる逆上によって彼は、芸術と誠実さの頂点に到達する。彼の映画の深い楽天主義は<ハッピーエンド>よりもそのエネルギーの中にあった。チャーリーは子供を連れ去られたままにするのでなく、屋根の上を走り、近くの街路で誘拐者のトラックを捕らえる。・・・・・・チャップリンが言っているように、最悪の不幸は諦めてしまうことである。彼の理想は戦うことである」
「キッド」は250万ドルを稼ぎ出す大ヒットとなり、チャップリン自身は100万ドル以上を得たという。
「キッド」に出演した6歳の子役であるジャッキー・クーガンは、一躍人気者となる。続いて、サム・ウッド監督の「悪戯小僧」(1919)にも出演し、子役スターのナンバーワンとなる。
ちなみに、チャップリンはこの年、故郷であるイギリスに里帰りをして大歓迎を受けている。このときチャップリンは、初恋の人ヘティが死んでいることを知った。このときのヨーロッパ旅行をまとめ、「わが旅行記」として出版し、ベストセラーとなっている。「わが旅行記」は、後にチャップリンの助手から映画監督となる新聞記者のモンタ・ベルの助けを借りて書いたと言われている。
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