ハル・ローチ、マック・セネット・・・コメディのプロデューサーたち

 ハロルド・ロイドを売り出したハル・ローチは、1921年に子供たちが出演する「アワ・ギャング」シリーズを作り出し、ヒットを飛ばしている。

 かつてキーストン社を主宰し、スラップスティック・コメディの祖であるマック・セネットは、「三等客室から迷い出て」(1921)を製作している。アメリカの移民手続きや禁酒法を手玉に、コミックなアクションを展開した作品であり、この頃のセネット映画の常連ビリー・ベヴァンとルイーズ・ファゼンダが移民の夫婦に扮して見事な演技を見せている。ちなみに、監督のフランク・パウエルはフォックスで「愚者ありき」(1914)を監督した人物であり、セネット喜劇は他に1本撮っているだけだという。

 そのマック・セネットのキーストン社の看板コメディエンヌとして活躍したメイベル・ノーマンドは、一時期セネットの元を離れてゴールドウィン社の映画に出演した。だが、ゴールドウィンとの契約が切れると、ノーマンドは再びセネットと契約し、「モリー・オー」(1921)に出演している。