フランス ジャック・フェデーの「女郎蜘蛛」

 印象主義とは一線を画し、商業的なフランス映画を監督していたジャック・フェデーは、1921年に公開された「女郎蜘蛛」(1921)で名を上げている。

 「女郎蜘蛛」は、サハラ砂漠に迷い込んだ外人部隊の士官と謎の宮殿に住む淫蕩な女王を描いたベストセラーのメロドラマが原作(原作名「アトランティド」)であり、映画権を1万フランで買い取って製作された。全編アフリカロケで8ヶ月に渡って行われた撮影のために、当時としては巨額である60万フランの資金を銀行などから出資してもらうが足りなくなり、最終的には180万フランかかったと言われている。

 ロケを行っただけあって、砂漠の場面は素晴らしい効果を上げているという(デリュックは、「『女郎蜘蛛』の一人の名優、それは砂である」と評している)。映画は、配給会社のルイ・オベールが200万フランで買い取り、大ヒットとなっている。

 他の商業映画に眼を向けてみると、フランス文学の映画化が主流であり、ジャック・ド・バロンセリは「ゴリオ爺さん」(1921)を監督している。