フランス アンドレ・アントワーヌの自然主義への挑戦

 映画への自然主義の導入を目指したフランスのアンドレ・アントワーヌは、「ラ・セグリエール家のお嬢さん」(1921)を監督している。貴族の物語であり、城館で撮影を行ったという。他にもアントワーヌは、エミール・ゾラ原作の「大地」(1921)や「アルルの女」(1921)といった作品を監督している。

 アントワーヌは結局、自らが目指した自然主義の映画を作ることが出来なかったという。一方で、若い映画人は様式化へと向かっていた。

 アントワーヌの試みはうまく実を結ばなかったが、第二次大戦後に自然主義は再び取り上げられることとなる。このころのアンドレ・アントワーヌと自然主義について、ジョルジュ・サドゥールは「世界映画全史」の中で次のように書いている。

 「自然主義の流れは、映画の歴史において本質的な重要性を持っている。そして、演出理論の大きな流れの一つが初めて自らをはっきり意識したのは、アンドレ・アントワーヌによってだった」

世界映画全史 (10)

世界映画全史 (10)