スウェーデン シェーストレーム「霊魂の不滅」とスティルレル

 スウェーデンの代表的監督であるヴィクトル・シェーストレームは、「霊魂の不滅」(1921)を監督・出演した。

 死んだ男が死の御者の操る幻の馬車に乗って現世を見ている。妻子の困苦を見た男は後悔の涙を流して生き返り、改心して妻子の元に戻る。だが、死の床にあった妻は死んでいくというストーリーである。

 死者の魂を呼び寄せるなどの北欧独特の神秘主義を、巧妙な二重映しを使用して表現し、賞賛を受けたと言われている。

 ちなみに、「霊魂の不滅」は、後にジュリアン・デュヴィヴィエが「幻の馬車」(1939)としてリメイクしている。

 他にもシェーストレームは、「愛の坩堝」(1921)を監督している。ルネッサンスフィレンツェを舞台に、1人の女性が年老いた夫を毒殺しようとする物語であり、神秘主義的で美しい映画と評された。一方で、大自然を離れて都市に閉じこもったことで、スウェーデンらしさが消えてしまっているとも言われる。また、人気作家のヤルマール・ベルイマンが脚本を担当したこともあり、スカンジナビア文学の影響を受けていると言われる。

 シェーストレームと並んでスウェーデンの代表的監督となっていたモーリッツ・スティルレルは、「ヨーハン」(1921)を監督した。「ヨーハン」では、急流という自然の要素が効果的に使用されたといわれている。他にも、革命時のロシアを舞台にした物語「亡命者たち」(1921)を監督している。